何と!面粗さRa0.03(μm)で「磨き」が不要に

鏡面加工を実現する切削工具と切削加工技術[第17回]

急増する金型の鏡面加工ニーズ

 近年ではIoT(Internet of Things)にからむセンサ関連や、次世代自動車のコックピットモジュールに関連して、「鏡面加工」が求められる高精度金型の需要が急増しています。例えば、IoTにおいては光電センサ・ファイバーセンサなど、カメラモジュールには光学レンズが必須となります。

 次世代自動車のコックピットモジュールへの応用で注目されるヘッドアップディスプレイ(HUD)でも、光学系は重要です。人間の視野に直接情報を映し出す手段として、もともとはジェット戦闘機のコックピットや戦闘ヘリのコックピットで使われていた軍事技術です。HUDを実現するためには超精密かつ複雑形状の非球面レンズが必要になります。

 こうした光学レンズや非球面レンズを製造するためには金型が必要となり、その金型には当然のことながら鏡面加工が必要となります。従来、鏡面加工には職人による磨き技術が欠かせないものでしたが、現在においては「磨き工程削減」あるいは「磨きレス」が求められています。金型の耐久性向上のため金型材料の硬度がどんどん増してきて、人手での鏡面加工が事実上困難になってきていることも、「磨きレス」が求められていることの背景にあります。

 そして従来はラップ加工などの「磨き」で行われていた鏡面加工を、近年では「切削加工」に置き換えていく工法転換の技術開発が盛んに行われています。「磨き」を「切削加工」に置き換えることができれば、従来人手に頼っていた工程を自動化することができます。コストダウンはもちろんですが、品質の安定や再現性向上にもつながります。

 ただし、ラップ加工においては面粗さRa0.1~0.03(μm)が得られるのに対して、切削加工ではフライス加工において通常面粗さRa3(μm)くらい、精密切削の場合でもRa1.6~0.8(μm)が限界です。切削加工においてラップ加工並みの面粗さを実現するためには、根本的に異なる切削工具と切削加工技術が求められることが分かります。

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