レクサスLS開発物語 賢いクルマ、賢いやり方(中編)

(前回からの続き)

二兎を追う宿命

 それから1年余り、日本では小泉内閣が誕生し、米国では同時多発テロが発生した。激動の2001年。4代目LSの開発プロジェクトが正式にスタートしたのは、この年の終わりだった。

 メンバーは、吉田を含めて製品企画の3人。キックオフ・ミーティングは、トヨタ自動車の研修施設を利用しての泊り込み合宿だった。吉田が口火を切る。

吉田守孝
トヨタ自動車商品開発本部レクサスセンターチーフエンジニア(写真:栗原克己)

「LSは、初代の成功を受け、続く2代目、3代目とそれを継承する形で進化してきた。でも、それもそろそろ限界にきていると思う」

「既存ユーザーの満足度は、今でも高いんじゃないですか」

「そうだけど、初代を開発したのは10年以上前になる。もちろん、モデルチェンジのときには、その時その時のユーザーニーズや最新技術を組み込んできた。けれど最近では、他社のフラッグシップ・モデルに対しその優位さが段々と薄れてきている。もう従来技術の延長ではダメだ。この辺で、大きくジャンプアップしないと」

 吉田が1年かけて、CEという立場からあらためてレクサスLSを見たときの一つの結論がこれだった。
「じゃあ、吉田さんなりのコンセプトをお聞かせください」

「それが、申し訳ないけど、まだ煮詰まってないんだ。だからこの場では、まっさらな状態から議論していこう」

「では確認ですが、発売時期はいつごろなんですか」

「まあ、2006年の夏とか秋とかだろうな。正式に決まったわけじゃないけど」

「あと5年か」

「確かに4代目の市場投入は5年後だけど、みんなにはもっと先を見据えて考えてほしいんだ」

「それって、どういうことですか」

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