レクサスLS開発物語 1/100に懸けろ(後編)

第4回 図面が持つ説得力

前回からの続き

図面が持つ説得力

藤堂 穂
アイシン・エィ・ダブリュ 技術管理部主担当(写真:栗原克己)

「その後、私たちとアイシンAWさんは9月末までの約2カ月にわたり、チェックリストに従った絞り込み作業を行いました。そして、これが100を超える案の中から選んだ最終案です」

 こう言うと、本多はパワートレーンの関係者が集まる会議室のテーブルの中央に1枚の図面を広げた。そこには、三つの遊星歯車機構が描かれている。入力軸側は遊星歯車が2段になった「ダブルピニオン型」で、出力軸側は二つの遊星歯車機構で遊星歯車を共有する「ラビニヨ型」。実は、遊星歯車機構の構成は異なるものの、三つという数自体はレクサスGSなどに搭載された6ATと同じだった。

「8ATにしたら、遊星歯車機構の数は増えるとばかり思っていたが、そうじゃないんだ」

 本多、そして吉田が満足そうにうなずく。

「気のせいか、6ATよりシンプルに見えるんだけど…」

「気のせいなんかじゃありませんよ。部品点数は6ATのときより、むしろ少なくなっています」

 本多の説明によれば、6ATでは、クラッチ、ブレーキ、ワン・ウエイ・クラッチがそれぞれ4枚ずつあったが、目の前にある8ATの図面では、クラッチこそ同じ4枚あるものの、ブレーキは2枚、ワン・ウエイ・クラッチは1枚しかない。

青木 敏彦
アイシン・エィ・ダブリュ 第1技術部アシスタントマネージャー(写真:栗原克己)

「それなら本多さん、6ATより小型軽量になるんですか」

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