3倍の年収で海外大手に転職した技術者、3年後に解雇された理由(後編)

(前回からの続き)

肩書にあぐらをかく

 日本企業の技術者を採用してノウハウだけ学び、不要になったら解雇。こんなことは許せないと感じる人は少なくないでしょう。しかし中途採用は、企業が求める知識や能力を持つプロフェッショナルを獲得する手段です。それがなくなったら、雇用は保証されません。

 Aさんは、なぜ解雇されたのでしょう。私は雇用主ではないので推測になりますが、Aさんとの会話から考えられる解雇理由を挙げてみます。

 まず、技術顧問という肩書にあぐらをかいていたこと。日本では、年齢や経験、学歴だけである程度の役職を用意する企業もまだあるでしょう。経営陣の言う通りに事業部の方針を立て、目の前の仕事に対して自分のノウハウを費やすだけでも許されます。しかし、海外メーカーではこれは通用しません。

 Aさんは、自分の保有スキルだけで部下の技術指導をしていました。最初こそ、部下から「先生」と呼ばれ、カリスマのような扱いを受けます。しかし一定のスキル移転を済ませ、部下が育ったら、価値が無くなってしまったのです。

 彼は先生扱いをされていることに満足感と優越感を感じ、慢心してしまったようです。日本に留まっていれば、社内での生き残りをかけて部下の指導や新しいプロジェクト作りにまい進していたことでしょう。それが海外で厚遇されるあまり、技術者として新技術に関心を持たず、新しい取り組みもせずにいたようです。

高額オファーにはマネジメント業務も含まれる

 またAさんは、マネジャーに求められる役割を果たせていませんでした。新事業に関する提案をするなど、企業をさらに伸ばすための活動をしていなかったのです。

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