発想が貧困とぼやく上司、「アイデアオープンソース」で豊かに(後編)

前回からの続き

「発想が貧困」と上司が感じる状況

 筆者のこれまでの経験では上司が部下に「発想が貧困」と感じる原因は三つある。第一は固定観念にとらわれていることだ。いわゆる「殻を破れない状況」である。問題解決のアイデアが過去の経験の延長線上にすぎなかったり、実施済みの解決策を多少見直しただけだったりと、新しい視点で解決策を考慮していないケースだ。

 固定観念にとらわれると大胆な発想が難しい。無駄な業務をなくすためのアイデアを考える場合でも、過去の常識を前提に考えると「どの業務も重要であり無くせない」といった結論に陥りやすい。

 発想のベースとなる目標そのものが小さい場合も、上司は発想が貧しいと考えがちだ。これが第二の原因である。本来、発想は目標を達成する手段として存在する。目標は経営目標のような大きなものから職場の課題、自分の仕事の無駄を改善するものまで、レベルは様々である。

 達成すべき目標が小さければ、その手段である発想(=アイデア)も小さくなる。経営レベルの目標を解決するアイデアと日常業務を改善するアイデアは違う。

 大きな目標を解決するにはそれなりの大胆な発想、アイデアが必要だ。情報収集も解決の視点も広げなければならない。

 第三の原因は知識不足、情報不足、知の交流不足の状態であることだ。豊かな発想やアイデアに欠かせないのは、豊富な知識や大量の情報であり、他人との知の交流である。発想は何もないところから湧き出てはこない。知識や情報をベースに他人と意見を交換する中で湧き上がるものだ。

図 部下の発想が貧困であると上司が感じる原因
知らず知らずのうちに枠を狭めている

原因の1と2は「第三者検証」で

 固定観念にとらわれている状態の「原因1」と目標が小さい「原因2」を解決するには意識改革が必要だ。ただし、自分自身で取り組むには限界がある。

 システム開発のテストでは、開発者の思い込みで成果物の確認が甘くなることを避けるため、第三者の立場で社外のテストチームや監査チームが参加することがある。同様に社外の第三者の力を借りて、自分の固定観念、目標の小ささ、アイデアの甘さをチェックする手助けをしてもらったらどうか。考え方について刺激を受けることもできるだろう。

 社外の第三者には企画担当者やスタートアップ企業の社員などが向いている。彼ら自身が絶えず新しいアイデアを考え、それを他人と意見交換してブラッシュアップしているからだ。こうした人たちとの交流を重ねれば、次第に自分の考えが変わってくることを実感できるだろう。筆者自身もSNSと勉強会で実施している。筆者の企画した仕事には、社外での交流から影響を受けた企画も多い。

オープンソース手法で発想を効率化

 第三の原因である知識や情報の不足を補うためにお薦めしたいのは、よそに既にあるものを少し変えて作ることである。既に世の中に存在する仕組みを組み合わせると新しいアイデアとして使えることがよくある。

 ソフトウエア開発でも使われている「オープンソース」の概念である。自分が開発しようとしている機能に近いオープンソースソフトウエア(OSS)を世界中で公開されているOSSライブラリから持って来て組み合わせ、少し変えて使う手法だ。

 アイデアも同じである。アイデアのオープンソースライブラリから持って来て、組み合わせ、少し変えて使えばよい。これが豊かな発想の早道である。

 発想とは目標達成の手段や課題の解決策を考えることである。手段や解決策が世の中になければ自分でつくり出す必要があるが、あまり効率的ではない。常に最適な手段や解決策が自分ひとりの頭から出てくるとは限らないからだ。無から有を生み出すには相当なエネルギーがいるし、有効なものが生み出されるとも限らない。

ここから先は日経TECHキャリアへの会員登録(無料)が必要です。

日経TECHキャリアとは?
 
  • ITの求人
  • 電気・電子・機械の求人
  • 建築・土木の求人