「全員同じ机」「スマホで打ち合わせ」─生産性高める組織運営とは?(後編)

「日経アーキテクチュア・フォーラム2018」報告

前回からの続き

個人の裁量に任せる自由さ

金田充弘氏(アラップシニアアソシエイト)

金田充弘(かなだみつひろ)
アラップ シニアアソシエイト。1970年東京都生まれ。94年カリフォルニア大学バークレー校環境デザイン学部建築学科卒業、96年同大学大学院土木環境工学科構造工学科修士課程修了、アラップ入社。2007年シニアアソシエイト。07年東京芸術大学美術学部建築科准教授。主な構造設計プロジェクトは、 メゾンエルメス(01年、設計:レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップ)、ぎふメディアコスモス(16年、設計:伊東豊雄建築設計事務所)、台中国家歌劇院(17年、設計:伊東豊雄建築設計事務所)(写真:都築 雅人)

 現在アラップは38カ国で90のオフィスを構え、1万3000人のスタッフが160カ国でプロジェクトを展開している。構造や環境にはじまり、音響やライティング、プロジェクトマネジメントなどまで携わる職能の広がりに伴って人員が増えている。

 組織は中央集権的ではなく、どの地域でもローカライズしてきた。日本でも、私が入社したときの代表は英国人のジョン・バチェラだったが、その後は日本人が務めている。日建設計と同様に全従業員がホールディングカンパニーに所属し、勤続年数等に応じて「シェア」を持つ仕組みを採用している。日建設計と違って、会社と個人の間で売り買いできるものではなく、あくまでプロフィット・シェアのためのもの。外部株主を持たず、独立性を保てることを大切にしてきた。

 組織が大きくなった今も、創業者のオーブ・アラップが遺したキースピーチをもとにビジョンの共有を図っている。今回のテーマに関していうと、「クリエーティブであり、学び続けることに対する自由を確保する」という言葉がある。

創始者の言葉をビジョンとして共有(資料:Arup)

 事務所では何より、個人の裁量に任せるところが大きい。キャリアパスの面でも、1つの職能にとどまらず自分で領域を開拓していける自由度があることは大切と感じる。

 創造性の向上を考えるうえでは、いかに知見を共有するかも重要なテーマになる。20年ほど前、あるディレクターが「私が2本電話して解決しない問題はない。それで解決できない問題は、現在は答えがない」と豪語していた。問題の解決方法を知るキーパーソンが誰かを知っていること、そのネットワークを持っていることが重要ということだ。

 一方、現在は社内SNSに投稿すると世界中から様々な知見が集まってくる。方法は異なるが、いかに人のネットワークをつくるかがクリエイティビティーの向上に結び付く。

 今後、個人的にはモビリティーに取り組みたい。サステナビリティーを考えたときに、建築や建築群としての都市だけを考えていては問題の解決にならない。モノや人の動きと「動かない建築」を組み合わせたところに可能性の広がりを感じる。(談)

ここから先は日経TECHキャリアへの会員登録(無料)が必要です。

日経TECHキャリアとは?
 
  • ITの求人
  • 電気・電子・機械の求人
  • 建築・土木の求人