契約解除や減額要求に我慢の限界(後編)

前回からの続き

4900万円の積算ミスで減額要求

 湖西市の当初の対応のように、自身の積算ミスを帳消しにするため、契約後に様々な理由を付けて設計変更などで減額を求める発注者は一定数存在する。中には数千万円もの要求をする自治体もある。名古屋市だ。

 市は19年7月、橋梁工事の入札で予定価格を誤って約4900万円高く設定し、本来よりも高値で契約を結んでいたと発表した。20年度予定の開通に間に合わせることを優先して契約は解除せず、今後、減額を求めて受注者と協議するという。

 市は交渉する金額を明らかにしていないが、受注者と契約した最低制限価格よりも低い本来の予定価格と契約価格との差、約1800万円が目安になるとみられる。ただし、何の非もない受注者が減額に応じる契約上の義務はない。「あくまでお願いという形になる」(市道路建設部の幅明央主幹)

 ミスがあったのは、名古屋市中川区の新川に架ける正江(しょうこう)橋の上部工事。長さ122.5mの3径間連続鈑桁橋の桁などを製作する契約だ(図2)。

図2■ 約10tの検査路の製作費を誤った
名古屋市が発注した鋼上部の工事で検査路を取り付けたのは過去7年間で1件だけ。積算に不慣れだったのがミスの一因だ(資料:名古屋市)

 桁間に取り付ける検査路の製作費の算出で、本来は1t当たりの製作に要する作業員の数を入力すべき箇所に、検査路の総重量9.9tの製作にかかる人数を入れてしまった。人数に単価を掛けて求める製作費が約10倍に膨れ上がった。

 名古屋市は誤った積算を基に予定価格を3億996万円(税抜き、以下同じ)と設定し、一般競争入札で公告した。市は公告時に予定価格を公表するので、応札者は最低制限価格をはじきやすい。

 応札した10社のうち6社が誤った予定価格を基に最低制限価格と同額の2億7897万円を提示し、くじ引きで宇野重工(三重県松阪市)が落札。最安値で応札した横河ブリッジを含む3社は、最低制限価格を下回って失格となった。市は19年3月に宇野重工と契約を結んだ(図3)。

図3■ 3社が誤った最低制限価格を下回り失格に
予定価格は事前公表のため、最低制限価格を狙った応札者が続出。宇野重工はくじ引きで落札した。価格は全て税抜き。名古屋市の資料を基に日経コンストラクションが作成

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