ドボク塾 二次元解析の罠

第6講義(3)谷埋め盛り土の安定計算 / 講師:太田 英将 太田ジオリサーチ代表

おおた・ひでまさ 1982年に静岡大学理学部地球科学科卒業後、同年に明治コンサルタントに入社。90年に退社し、太田ジオリサーチを創業する。92年に(有)太田ジオリサーチを設立し、同社の社長として現在に至る。APECエンジニアや地すべり防止工事士、地盤品質判定士など数多くの資格を保有する(写真:吉成 大輔)

土木の世界では、簡易な二次元断面法による安定計算式で構造物や地盤を評価することが多い。しかし、二次元断面に簡略化できるのは、現象を正確に解析できるという前提条件があって成り立つものだと太田氏は指摘する。問題の本質を見極めて仕事に臨まなければ気付けない。

 建設コンサルタント会社に勤めていたときから、日頃の業務で腑に落ちない事態に直面してきました。例えば、これまでの講義で話したように、実際に起こった現象と事前の評価が違っているにもかかわらず、ルール通りに業務を進めなければならないことです。今回お話しする「斜面問題は二次元断面法で解くのが原則」という考え方も、納得がいかなかった疑問の一つです。

 簡易な評価法である二次元解析の手法を否定するつもりはありません。ただし、正確に解析できる方法があるという前提条件が成り立たないにもかかわらず、簡略化した方法を使うのはおかしいと思っています。それを説明するため、今回はクイズから始めましょう(図1)。

 非常に勾配の緩い谷地形を埋めてできた谷埋め盛り土の滑動崩落と、自然斜面でよく見られる表層崩壊の簡易なイラストです。両方とも土は重力で斜面をすべり落ちようとする。その誘因として、地下水が関与するという点で共通しています。

 ただし、どちらか一方は縦断面による二次元解析では、崩壊現象を近似できません。さて、どちらだと思いますか?

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