私の駆け出し時代 災害支援が人生を決めた 坂 茂、その4

(前回からの続き)

建築家の生涯を決める、40歳の作品

国連との紙管のシェルター開発が続けられている最中、1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生する。

 何かをしなければ、と思いました。ただ、あれだけの大災害ですから、どこで何をすればよいのか、すぐには分かりませんでした。

 そんな思いを持っていたとき、たまたま新聞で神戸の鷹取教会に元ベトナム難民がたくさん集まっていることを知り、何か手伝わせてほしいと教会に向かいました。ちょうど難民問題に関わっていたということもあり、難民の人たちの手助けをしたいと思ったのです。

 神父や難民と話し、「紙の教会」と複数の「紙のログハウス」をつくりました。

鷹取教会の集会場としてつくられた「紙の教会」。現在は、エコツーリズムの拠点となる施設として、台湾に移築されている。(写真:平井 広行)
元ベトナム難民のためにつくられた仮設住宅「紙のログハウス」。ボランティアの学生の手によって施工された(写真:平井 広行)

「紙の教会」では建設費とボランティアの人員を自ら集め、「紙のログハウス」の1棟目も自力で建設した。

 自力とは言っても、メーカーの協力を得ているんです。駆け出しの頃に、展覧会を実施するためのスポンサー集めに苦労しましたから、スポンサーを見つけながら活動を続けていく癖が付いたのだと思います。

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