建設機械「自動化」の先駆者 現場が工場になれば土木は面白くなる(前編)

三浦 悟 鹿島機械部自動化施工推進室長兼技術研究所プリンシパル・リサーチャー

重機の自動化で一歩先んじる鹿島。「A4CSEL(クワッドアクセル)」と呼ぶ技術の開発を加速させようとしている。その旗振り役が、自動化施工推進室長の三浦悟氏だ。

みうら・さとる
1956年生まれ。79年に早稲田大学卒業。同年、鹿島入社。同社の技術研究所で無人化施工や情報化施工の技術開発に携わる。2005年に京都大学博士課程修了。17年4月から現職。16年からは、重機の自動化技術を宇宙探査に活用する研究をJAXAと共同で進めている。博士(工学)(写真:鹿島)

 僕が開発に取り組んできたA4CSELは、重機の「自動化」で人手不足という深刻な課題を克服する、次世代の建設生産システムです。

 「遠隔操作」との違いは、GPS(全地球測位システム)や制御用PCを積んだ重機に指示すると自動で作業してくれる点。これまでに振動ローラーとブルドーザーを自動化し、福岡県の五ケ山ダムに投入。国土交通省の大分川ダムでは自動ダンプトラックを追加し、試験を実施しました。

 55t級のダンプで運搬・荷下ろしした土砂をブルドーザーでまき出し、振動ローラーで転圧するという一連の作業を自動でできるようになり、2017年には国土技術開発賞最優秀賞など、幾つかの賞を頂きました。将来は1人で10~20台の重機を稼働できるシステムを目指します。

 人に頼めば一言で済むことも、機械にさせるとなると簡単ではありません。全作業をデータ化し、指示を入力しなければならないのです。

 しかし、その難題をクリアすると指示通りに重機が動き出します。施工状況はデータで可視化して蓄積し、人工知能(AI)で解析した結果を次の作業にフィードバックする――。まさに現場の工場化ですよ。

 建設現場が工場になると、土木技術者にはより高度なマネジメント能力が求められるようになる。現場の状況に応じて最適な機械の組み合わせや配置、手順を考える。それは、技術者の本来の仕事だと思いませんか。

 自動化というと「人の仕事を奪う」となりがちですが、むしろ土木の仕事をもっと面白くすると思うのです。

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