雨漏りを招いた「抽象化」という錯覚─山本理顕氏(後編)

山本理顕氏(山本理顕設計工場代表、名古屋造形大学学長)、その3〔失敗に学ぶ編〕

前回からの続き

家具感覚で失敗も経験

 周囲と協働して仕事を進めることができたが、失敗もあったという。

 「藤井邸」(1982年)という診療所を併設した住宅でのことですが、「山川山荘」と同じように、家具の感覚でつくったんです。そうしたら、雨漏りしてしまいました。水というのは、なんとなくサラサラと流れるものかと思っていたのですが、意外と粘性があって、よく観察すると表面張力で水あめみたいにドローッと流れる。端部で水がポタポタと下に落ちてくれるのかと思ったら、当たり前ですが、まわり込んできてしまったんです。

 あのときは、笠木や水切りを付けたくなくて、できるだけ抽象化したいという意識がありました。抽象化しないと、建築は表現にならないのではないかと思っていたんです。若い頃の失敗談です。

 昔と今では自分の感覚が違うという山本氏。2017年に「山川山荘」を自ら購入したが、40年後の自作を、どう感じているのだろうか。

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